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naitou

「FLASHBACK DAYS」


「今日は ふたご座の流星群がよく見えると聞いて ずっと夜空を見ていた」

私の初めての動画作品は、旧知の女優・石川ユリコさんの静かな朗読で始まる。

彼女の朗読が、ひそかに私をささえたりはげましたりすることは、本当にもう、よく、ある。


そう、今日はふたご座の流星群。

すぐそこのパンダ公園まで、家の人とちょっとだけ観に行こう。

すごく寒いから、色違いのダッフルコートを着て、おそろいでしましまのマフラーをして、コーヒー持って、もちろん裸眼で、流星群を観に行こう。


先日、GOMES THE HITAMANのライブ「FLASHBACK DAYS」に出かけた。

なにかを思ったり涙ぐんだりすることよりも、笑って楽しい気持ちのほうが強かった夜だと思う。

私も家の人も、すごく昔からこのバンドを大切に聴きこんでいるので、

ああこの曲を聴いていた頃はどのへんに住んでいて前の猫もまだ生きていてね、とか、

よみがえる日々の景色を歌にのせては、ひとつずつ胸に響かせていた。

ステージの上の4人とも、落ち着いたまばゆいひかりを放っていて、その音楽はもう絶えることがない。

自分がかつて演劇人だったから思うわけではないけれど、ひとが、目の前で全力でなにかをやっているということ、その距離と強い熱、ひかりと音。直接に届く、まっすぐな立ち姿。

それが実際にライブに出かける気持ちと理由だ。

ずいぶん前にチケットを取った時からすでに始まっている。

そこで届く彼らの音楽たちは、もう「音」だけでなく「人」だけでなく、あらゆるものごとや年月をひっくるめて、私や誰かの来し方のあちこちを照らし出してゆく。

いい夜だった。

ずいぶんと、いい夜だったな。


話は変わって、おとといくらいに、今度はツイキャスでGOMES THE HITAMANのライブドキュメンタリー「FLASHBACK DAYS」を観る。

プロジェクターでキッチンの壁に大写しにして、部屋を暗くして(黒猫の姿が自動的に見えなくなるのが難点)豚鍋をつつきながら、なごやかに楽しく観た。

黒猫ネルが、ふしぎそうに、壁に大きく映る山田さんを目で追っていた。

私と家の人は、メンバーのかたがたや楽曲について、そしてそれらにまつわる古い記憶のいくつかを話し、目の前にはあたかたく煮えてゆく鍋、ぐつぐつぐつ。

リアルタイム視聴ではなかったので、お茶爆(というのがあるそうです。今回はかわいらしいバンドワゴンが時々降っていた)も花火も星もあげられなかったけど、自分たちなりにこのライブドキュメンタリーを楽しんで観るということにかけては、けっこういい線いってたことかと思う。


今は私は黒猫を抱いて、好きなだけ書きものをして、とても平和によく眠る。

どんな「FLASHBACK DAYS」をも、大切にしてそしてもうたじろがないでやってゆく。

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