よく晴れたきれいな朝ですね。
さきほど、<『ナイトライトVIEW、いくつか。』「おひさままち」から「歓喜の歌へ」>
を、公開しました。
ライブの各作品について、思うことや書いておきたいことがいくつかあるので、
これから公開の都度、少しそれらも載せてゆくことかと思います。
そういうものは読まずに作品世界だけをピュアに楽しみたいよねってかたは、もちろん全然それでだいじょうぶです。
黒猫がこたつカバー(こげ茶色)に、とけこんでしまって行方不明な朝です。
じゃ、今日もいい日で。
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「Night light/Naitou write」①
~詩と音楽の夜「ナイトライト」のこと~
●「おひさままち」
もう何年も前のこと、この詩「おひさままち」をせめてお見せする資料にとそっとかばんにしまって、ずっと気になっていた七月堂へ初めて、しかも自分の絵本「ねこかげ」をこっそり携えて、新たなドアを開ける勇気を持って向かった日がありました。
書いていっていいんだ。私。
その頃はもう、そう思えるようになっていた気がします。
このライブでの演奏は、数年前の世田谷文学賞にて佳作に選んでいただいた詩「おひさままち」に、自分で曲をつけたものです。( 初めて絵と音楽を入れた時の作品はこちら 2001年作品「おひさままち」 )
これだけ最初から私は、言葉や音楽が入るタイミングにこだわっていてその割にうまく説明できなかったりして、亜紀子さんが書いてくれたピアノ譜をもとに、言葉とメロディと全部を譜にあらためて書き起こしてみたりしていたのでした。
たくさん稽古につきあってくれたみなさん、ほんとうにどうもありがとう。
これを書くまでに至る私を知るユリコさんが静かにでも深くしっかりとうちだしてゆく彼女なりの景色、もうこの世ではないかもしれない存在を確かに担う伊奈さんの言葉の重量、亜紀子さんのピアノがつむぐのは声にならないもうひとつの歌なのではなかったか。
そのどれもが、それを聴くひとびと想うことごとを経て、いつかは誰もが自身を咲かせてゆくことができたらいい。
「おひさままち」というタイトルだけいうと、よく「おひさま町」という意味にとられることもありますが、ここでは「町」ではなく「待ち」、「おひさま待ち」という言葉が先にありました。
かつて、以前の仕事で、映像の撮影現場に出向くことがたびたびありました。
当時は、幼いころから好きだった書くことも描くことも音楽もすべて自ら封じてゆくような必死な仕事続きの日々でした。
そうでもしないとこの日々にはもう立ち向かえないとつらく思いこんでいたし、実際そうだったのかもしれません。
そのいつだったかはもう忘れましたが、CMか何かの撮影現場にて、途中で助監督の方が「あれれ、曇ってきちゃったなー」と空をあおいでつぶやくと、ややあって、スタッフの方々のほうから「今、おひさま待ちでーす」と雲の切れ間を待つ声があがりました。
そして「おひさま待ちでーす」「おひさま待ちでーす」と、現場じゅうに広く口伝えで流れてゆくその言葉たち。やがて雲がとぎれてさしてくる明るい光。こともなげに再開してゆく現場。
その瞬間の景色とともに切り取って胸にしまっていったこの言葉は、何年も何年もたって
今の私に何が描けるだろうと思った時に、ふと自然にころがり出てきたのでした。
●「歓喜の歌」
会場のCOFFEE&ROASTER2-3や私たちメンバーの雰囲気によく似合う、かろやかで楽しげな「歓喜の歌」を、大背戸亜紀子さんが弾いてくれました。
私が初めて亜紀子さんにピアノを弾いていただいたのは、2001年末の「おおつごもりのピアノフォルテ」という動画作品でした。
それまで勝手に親近感は抱いていたものの顔見知り程度だったその頃の私が、この作品で亜紀子さんのピアノを切実に必要として、書き上げた台本とともに恐れ多くも思いきってお願いに伺った際にこころよくこたえてくれたこと、それがまた新しい次のドアを開けてゆく大切なきっかけとなっていったこと、そこからひろがってつながっての「ナイトライト」ライブそしてあざやかな未来。
それらすべてがひっくるまっての、今回の「歓喜の歌」。
その優しいピアノにのって、なにもかもが新たに誰かの胸へと強く明るく響いていったことでしょう。
ピアノソロのシーンでありながら、うまくはけられなかった私(客席に退場予定でしたが、嬉しいことに客席がいっぱいで入り込めなかったのです)は、ステージのはしっこで、今は会場のみなさんとともに明るく未来へと送りだしてゆけることを、演奏している亜紀子さんの笑顔をながめながら心からしあわせに思って聴いていました。
とてもいい年の瀬でした。
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