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naitou

「オカリナの駅で」


私の前作『FLOWER ROAD』の予告編や本編などで流れるテーマ曲「フラワーロードの歌」は、去年、NODA・MAP「フェイクスピア」を観た帰り道に、歌詞とメロディを書いた。

一年近く前の自分が、何を思っていたのかは、もうわからない。

ただ、受け取ったなにものかを、あたためてかたちをかえて、そして外に誰かに、今の私の言葉でなにか目に見えるかたちで、ふたたび自分なりに世におくりださなければ。

と、ちゃんと思ったんだと思う。


その気持ちはきっと、演劇でも音楽でも本でも絵でも、なんでもいい。

それが、ものをつくるということの一環だと、今でも思っている。


その帰り道の駅の地下通路、昔よりずいぶん新しく様変わりした駅の中で、ふと思い出すことがひとつあった。


この駅をよく通っていた学生の頃、地下通路でのオカリナの路上ライブに出会ったことがある。その時は、かなりの人だかりだったように思う。

少年のような少女、りりしい演奏者が雑踏の奥でひとり、小鳥みたいに優しい強い音色をのびのびと奏でていて、何者にもなれないでいる自分に疲れていた若い私は、ちょっとひるんだ。

あまりにも、その彼女も音楽も、優しくまばゆかったから。


何十年がたって、私はさして変わらない。

でも、通らなくちゃいけない道は、ちゃんと通ったように思う。

これからのことは、きっと、猫だけが知っている。


  ♪花道 道行き

   ひとりで 歩く

   まひるの月が見たくて 顔をあげるぼく


そんな私の「フラワーロードの歌」を

不思議な優しい歌声でつくりあげてくれた華恵さん、アレンジを重ねてひろげてくれたドラムの公大さん、本当にどうもありがとうございました。

まさかとは思いますけど、まだごらんになっていない方がいらしたらどうぞこちらにて! 詩と絵のSHORT MOVIE『FLOWER ROAD』- YouTube


ではまた明日。


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