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naitou

「ぼくは たいした嘘がつけない」



今日から4月、あいにくの雨。

4月のカレンダーのこの絵は、昨年の展示「星を放つ夜」の中のひとつで「渡河」というタイトルです。

「星を放つ夜」はいつか絵本にしたいと思っているので、それぞれの物語はまだないしょに置いといて。


「渡河」という言葉が、昔からけっこう好きです。

その大きな河川を渡ってゆくイメージに、りりしさと少しのさみしさと、新しい対岸へとすすんでゆくいさましさを思っています。

あともうひとつ、子供の頃好きだった児童文学の登場人物のことでもあったりして。

ある町の夜の秘密をさぐる子供たちにまとわりつく新聞記者の名前が「渡河(ワタリカワ)」で、(その本の内容詳細ははぶきます、ぜひさがしてみてね)彼はそんなに出てこないんだけど皮肉屋さんで謎めいていていろいろあって、最後に自分の書いた記事の最後にいつも<トカ>って署名入れてるからまあ読んでみてよって去ってゆくのでした。

読んでいたその頃小学生だった私は「なんで急に?署名がトカ?えそれはなんかの布石なの?」と一瞬混乱したものでした。

「渡河」と「トカ」が、頭の中でつながらなかったのでしょうね。


ずいぶん大人になってから、その本の主人公の名前は、私がそれとは別にとても大切にしていた天沢退二郎さんの本のヒロインの名前を少し変えてとったという、その作家さんの話をどこかで読んで、さまざまな登場人物の名前ひとつひとつにこめられたかけられた思いをきちんと受け取った気がしたのでした。


「渡河」だから<トカ>なのか、ってあとで気づいた時(遅い)、この物語に横たわる大きな河川のイメージと、出てくる子供たちの日々のステップがすーっと重なって、とくに触れたりまとめたりしない事柄さえも、なにかどこかで作家さんの思いを強く通っていることに、そういう本を今読めたことを、子供心にとても嬉しく思ったのでした。


さてこの話とこの絵はまったく関係ないけど、

新しい日付で、新しい気持ちで、河を渡ってゆけたらいいよねいつだって。

という気持ちでカレンダーの中でも4月に、この絵を置きました。


窓辺で眠っているネルごしに、雨の様子をながめています。

今日はお花見…できるかしら?雨の中、桜を見上げての散歩くらいかな…?

たいした嘘のつけないエイプリルフール、今日はお花見とライブをめいっぱい楽しむ予定でいます。

じゃあねえ。



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