家のひとが集めてだいじにとっておいてくれたデータからつくったものです。
これらの写真を二つ折り携帯でいっしょうけんめい撮っては笑っていた、今よりだいぶ若い自分たちとその小さな部屋の景色、この猫といた過ぎた日々のことごと。
90年代後半から、2000年代をすぎての激動の時期、ずっとそばにいてくれたやつ。
今の私の描く猫に特に名前はないし、はっきり誰とも何ともいわないけど、
この子がいたから描けるようになったし、年をとってこの子がいなくなってからは会いたくて会いたくて描き続けた日もあったのでした。
そしてその頃の私に続いた幾重もの悲しい事柄を、この子が全部一緒に天に持って行ってくれたかのように、いつしかちょっとずつ私も楽になって深く呼吸ができるようになっていって。
きっとさ。
誰だって何だって、心から思ってつくったものは
どんなにそこはかとなくても、どこかには響くように届くようにできていて
あとはそれをちゃんと受け取ったり、かたちをかえてまた誰かに渡していったり、
本当にただただ、そういうことなんだと思っています。
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