<撮影:土谷朋子 2023.11.12>
本番前夜、会場となる2-3店内の片づけをしながら、電子ピアノ搬入と、照明家の旧友の到着を待っている時でした。
本番前日のスタジオ稽古からの写真撮影をしてくださった旧知の土谷さんとふたりきりになった静かな店内で、私は思わず、自然にくちにしたのでした。
「(かつて劇団をやめたことで)思い残したことがあるとは思ってない。やめた劇団員あつめてなにやってんだって思われてもべつにいい。…ただ、今なら今なりにできることがあるかな。って思って」
楽しかったことは、ちゃんと楽しかったって思い出せるようでいたい。
それを全部言ってしまったらもう泣いてしまいそうだったので、途中でくちをつぐんで黙っていたけれど、その思いは誰のどこまで届いたことでしょうか。
あおい夜の空へとしずかにたちのぼってゆけたことでしょうか。
もうじき、冬が来る。
私ひとりではなく、たくさんのひとびとの思いが、ともにしずかにたちのぼってゆく。
あのピアノの音にのって、つむぐ朗読の声音にのって、まわるミラーボールをたどって次の季節へ、この空へと。
12日の夜から朝にかけてのうちあげ明け、笑って手を振って全員をみおくった。
そう、どんな物語にも、日々は続いてゆく。
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