「ｂ♭」

外は強く、雨が降り始めています。

なんだか考えごとが多くって、しばらくひとりで絵を描き続けていました。

あまえんぼう王子さまネルネルとの優しい毎日、今はもうない池袋リブロの奥の『ぽえむぱろうる』、谷川俊太郎さんが亡くなられたこと、はたちの私の書き込みだらけの『夜中に台所で～』、自分の指先から飛び立ってゆく言葉とものごとその景色、転校した各地に息づいているだろう幼い自分の記憶と姿、どんな瞬間も今でも即座に自分を保つことができるｂ♭の音、暗転の舞台に動く見えない影たちの出方をはかっていた日々。

そして今私の言葉は、なにをどこまで越えてゆけるのだろう。

またそのうち、普通の日々のこととか書きます。

あさってくらいには。

ネルネルが毛づくろいのついでに、私の頬をなめてくれたりなんかしています。

「りえちゃん、どしたの？…どっか、いたいの？」

ううん、あくびしただけだよ。